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Introduction
ごあいさつ
戦後の日本は復興期を経て「東洋の奇跡」と言われるほどの急成長を遂げ、瞬く間に世界でも有数の経済大国に高度成長を果たしました。しかし、1990年代初頭のバブル崩壊後、20年以上にわたって経済の停滞が続いています。さまざまな経済政策や復興政策によっても日本の経済成長はバブル崩壊前の勢いを取り戻せていません。
我が国の高度成長を支えた高い技術力も、新興国を含む他国に追従を許し、後塵を拝する側面も否めず必ずしも世界最高水準を保っていない分野もあります。
日本の基礎研究力の低下が危ぶまれるなか、2008年南部氏、小林氏、益川氏のノーベル物理学賞受賞は、2002年小柴氏受賞以来の明るいニュースとなりました。とりわけ小林氏、益川氏の受賞にはKEKBと呼ばれる加速器装置が組み込まれた大規模実験施設が大きな役割を果たしました。
KEKBを有する「大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(KEK)」は世界トップクラスの研究者を擁し世界をリードする加速器技術を有する研究機関です。その技術は、現在、国際プロジェクトとして計画されている国際リニアコライダー(lnternational Linear Collider : lLC)に大きく活かされ、世界中の研究者と共に宇宙創成の謎に追ろうとしています。
我々は、加速器及び加速器技術をキーワードに、ILCの実現を支援し、国内研究機関が保有する革新的な最先端の技術をさまざまな産業に生かし経済価値に変えることを支援するために、「株式会社アクセルレーター」を設立しました。
再び日本が科学技術立国として成長するために、世界トップクラスの研究機関が保有する技術を通して、これまでになかったものを実現するための応援をし、事業開発と知財戦略を推進してまいります。
Acceleratorとは
Accelerator ~ 加速器~ とは、電子や陽子などの粒子を光の速度近くまで加速して高いエネルギーの状態を作り出す装置です。高エネルギー加速器研究所(KEK)では、巨大な加速器を使って基礎研究が行われています。
KEKで行われている研究
1)ニュートリノ
高いエネルギーの粒子を衝突させ、宇宙誕生時に多数存在した粒子を発生させて反応を調べる研究や、ニュートリノを発生させ、その振る舞いを調べる研究などです。これらはいずれも物質を細かく分けていくと何から出来ているのかなど、物質の根源や宇宙誕生時の物質の起源にせまる謎を解明してくれる基礎科学研究です。
2)放射光
高エネルギー粒子が曲がる時に放つ強力な光や、粒子の衝突反応から生まれるミュオンや中性子と呼ばれる粒子を使って、物質の極微の世界の構造を調べる研究です。これらは最近話題になっているたんぱく質の立体構造の研究など薬品や新素材の開発研究につながる基礎科学研究です。
加速器と技術と産業
一般にはあまり知られていませんが、いろいろな生産活動、社会生活に加速器技術は活かされています。
例えば、がんをはじめとする病巣の早期発見に用いられるPET‐ CTと呼ばれる断層撮影装置、また、がん治療後の早期社会復帰が高い粒子線治療装置で加速器は使われています。さらに、半導体デバイスの各種製造プロセスでも活躍しており、トイレの抗菌処理、金属加工や表面処理にも活用されています。
小惑星探査機はやぶさが小惑星イトカワから持ち帰った微粒子の分析に理化学研究所のSPring-8やKEKのPF(Photon Factory)と呼ばれる加速器技術を用いた分析装置が活躍しました。
その分析結果を基に我々に身近な製品が開発されています。スタッドレスタイヤ、省エネタイヤ、虫歯になりかけの歯の再生を促すガム、大人の女性向けシャンプーなどさまざまな製品が加速器の技術により誕生しています。